今回の記事では、株式の収益性を図る指標としてPER(株価収益率)について説明します。
PERは上場企業の場合は、公開情報によって簡単に計算することができ、上場企業同士を比較する上で非常に便利なので、是非覚えて活用してみてください。
PERは以下の計算式で表すことができます。
つまり、現在の株価を当期純利益で回収するには何年かかるかを示す指標です。
一般的に利益成長の高い会社ほど、将来の収益拡大に対する投資家の期待が株価に反映されることで、PERは高くなる傾向にあります。
しかし、PERが何倍だから割安、割高という絶対的な基準ありません。
成長している企業であればPERが高くなり、衰退産業に属する企業であればPERは低くなります。
PERを利用を使った比較をする場合は、業種や財務構成、ビジネスモデルの似ている企業間での比較に用いるという点に留意が必要です。
前回の記事より、株価=(EPS / 要求利回り) + PVGO(成長機会の現在価値)と表すことができますので、PERの計算式に代入すると、
と表現することができます。
つまり、
PERが上昇するということは、PVGOの増加か要求利回りの低下を意味し、
PERが低下するということは、PVGOの減少か要求利回りの上昇を意味するのです。
PERとPVGOの関係について、具体例を基に考えてみましょう。
前回の記事の例題2では、株価が120万円、EPSが10万円でした。
新規投資のリターン25%が要求リターン15%を上回っており、PVGOはプラスです。
この場合のPERは上記の計算式によって120/10=12倍となります。
例題1では、株価が66.7万円、EPSが10万円でした。
新規投資のリターン15%が要求リターン15%と同じであり、PVGOはゼロです。
この場合のPERは66.7/10=6.7倍となります。
例題3では、株価が54.5万円、EPSが10万円でした。
新規投資のリターン10%が要求リターン15%を下回っており、PVGOはマイナスです。
この場合のPERは54.5/10=5.5倍となります。
EPSと株主の要求利回りが一定と仮定した時、PVGOが大きくなるほどPERは高くなり、PVGOが小さくになるほどPERは低くなるのです。
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