学生時代に投資銀行でインターンする前に、法学部で全く財務・会計の知識がない状態で読んだ本。
広く浅く会計の知識を習得し、簡単な財務モデリングを回す上でのベースとなる知識を習得できました。
PL (損益計算書), BS (貸借対照表), CS(CF,キャッシュフロー計算書) の連動を分かりやすく、タイトルの通り「一体として理解できるように」書かれている。
会計処理ごとに、どのように数字が変動するかが丁寧に説明されており、初学者でも理解であるように思う。
財務諸表を読むスキルを身に着けることは、ビジネスマンとしてのキャリアを歩む上で、かなり大きい強みになる。
新聞に書かれている会社の業績の数字が何を意味するのか、自社どのように資金を調達して、どのような意思決定プロセルを経て投資を行っているのか、一つ上のマネジメントレベルから俯瞰することができるようになる。
海外のMBA留学で実感したが、30歳前後で優秀とされるMBAの生徒でも財務3表を頭の中で連動させながら考えることができる生徒はほとんどいない。
若いうちにこの本の内容を理解できれば、大きな差別化要因になると思う。
説明と数字の動きを行ったり来たりしながら読むので、まずは紙で読むことをおすすめします。
――目次――
第1章 財務3表の基礎知識
●なぜ会計が簡単に理解できるのか
1.財務諸表が作られていく手順
2.財務3表を一体にして「つながり」を理解する
●会計の全体像
1.会計をシンプルに勉強していく
2.すべての会社の共通する3つの活動と財務3表の関係
3.PLとBSの数字は必ずしも現金の動きを表すものではない
●損益計算書(PL)で5つの正しい利益を計算する
1.PLの構造
2.PLの目的
●賃借対照表(BS)は財産残高一覧表
1.BSの構造
2.資本金は返さなくてもよいお金
3.会社がお金をあつめてくる方法は3つある
4.BSの目的
●複式簿記とは何か
1.単式簿記と複式簿記の違い
2.試算表及びPLとBSの関係
3.PLとBSの時系列的つながり
●キャッシュフロー計算書(CS)の家計簿
1.CSの構造
2.「小計」の意味
3.CSの2つの作成方法:「直説法」と「間接法」
第2章 財務3表一体理解法【基礎編】
●財務3表のつながりを理解する
1.財務3表の5つの「つながり」
2.日本の漆器をインターネットで海外に販売する事業を想定
3.一つひとつの取引ごとに財務3表を見る方法
●一つひとつの取引が財務3表にどう反映されるかを理解する
・資本金300万円で会社を設立する
・事務用品を現金5万円で購入
・パソコンを現金50万円で購入
・ホームページ作成を発注、外注費20万円を現金で支払う
・創立費30万円を「資産」に計上する
・販売する商品を現金150万円で仕入れる
・商品が現金300万円で売れる
――商品をまず在庫として計上する方法
・ビジネス拡大へ運転資金500万円を借りる
・商品750万円分を「買掛」で仕入れる
・「売掛」で1,500万円を販売
・買掛金750万円を支払う(「勘定合って銭足らず」に)
・売掛金1,500万円のうち1,000万円を回収する
・給料50万円を支払う(うち源泉所得税2万円は会社が一時預かる)
・商品の発送費用100万円を一括支払い
・短期借入金500万円を返済し、利息50万円を支払う
・「在庫100万円」を認識する
・「減価償却費10万円」と「繰延資産償却費6万円」を計上する
・法人税200万円を計上する
●配当の仕組みと「株主資本等変動計算書」を理解する
1.会社はだれのものか
2.利益と配当とBSの関係
3.「純資産の部」の構造
4.「株主資本等変動計算書」とは何か
5.「株主資本等変動計算書」がPLとBSをつないでいる
6.配当金の支払いと任意積立金の積み立て
7.PLの当期純利益とBSの利益過剰預金が一致するわけではない
第3章 財務3表一体理解法【発展編】
(2000年以降に出てきた新しい会計基準)
●2000年以降に出てきた5つの新しい会計基準とは
●一つひとつの取引が財務3表にどう反映されるかを理解する
・退職給付会計を適用し、「退職給付費用」5万円を計上する
・「貸倒引当金」を10万円計上する
・金融商品の時価会計1 「売買目的有価証券」10万円、「投資有価証券」20万円、「関係会社株式」30万円を現金で取得する
・金融商品の時価会計2 期末に評価損発生、それぞれの計上価額を引き上げる
・減損会計を適用、「固定資産」40万円を20万円に評価替え
・自社の株主50万円を会社が現金で買い取る
・税法に基づいて法人税を計上する
・税効果会計を適用、会計上の「あるべき姿」で税額を表示する
第4章 さらに理解を深めたい人のために
●「連結」がわかれば「非支配株主持分」の意味もわかる
1.連結対象の会社と連結のプロセス
2.全部連結と持分法連結
●国際会計基準(IFRS)における「包括利益」という考え方
1.日本の会計基準と国際会計基準の違い
2・「包括利益」とは何か
3・日本の連結財務諸表が国際会計基準に近寄ってきている
●いつもモヤモヤする「純資産の部」の徹底理解
1.株主資本の分類の基本的な考え方
2.準備金はなぜ必要なのか
3.資本金と資本準備金への割り振りはどう考えればよいのか
4.その他資本剰余金
5.その他利益剰余金
6.欠損てん補のための資本から利益への振替え
●組織再編会計の仕組みをポンチ絵で理解する
1.合併と買収
2.「のれん」の処理
3.会社分割
4.株式交換・株式移転
5.新株予約権
6.債権放棄と債務免除益
7.DES(デット・エクイティ・スワップ)
8.有償減資と無償減資
第5章 英文会計の基礎知識
●英文会計も基本は同じ
●損益計算書(Income statement)の構造
●賃借対照表(Balance sheet)の構造
●キャッシュフロー計算書(Cash flow statement)の構造
●株主資本等変動計算書(Statements of Stockholders' Equity)の構造
【Coffee Break】
1.経営感覚を高めるPLの味方
2.左右がバランスするからバランスシートというのではない
3.会計のロジックは美しい
4.財務会計と管理会計
5.「人間」は財務諸表に出てこない
6.勘定合って銭足らず
7.商法と会社法、そして旺盛なる企業家精神
8.資本金と資本準備金の取り崩しの手続き
9.資本金と株式の関係
10.「総(Gross)」と「純(Net)」
11.「借方(Debit)」「貸方(Credit)」
目次:MBA関連書籍
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