人は必ず死ぬ。だからこそどう生きるべきか。
死に対して議論することは、忌み嫌われるものとされている。しかし、死に対して真剣に立ち向かうことなく、恐怖の感情のみを抱くことは心にも体にもネガティブな影響を与えかねない。
この本は、我々が直面しなければならない究極の問題に対して答えを与えてくれる。
しかし、本書で扱われている「死」は医学的な「死」や、我々が普段考えるような「死生観」ではない。
哲学的アプローチで「死とは何か」という問いに挑んでいくだけの本である。
生きている限りは経験できないものである「死」を一つの解答として示すことはできない。
自分自身生きていると認識している限りは、「生」と「死」の断絶がいつ訪れるのかを予測できない。
「死」とは超現実的なものである。
残念ながら、この本はタイトルの問いに対する直接的な答えを与えてはくれない。
「死」が何か何でないか、死はを前なのか悪なのかという思考の営みを通じて、「死」や「生」は何であると自分は考えているのか、どう向き合うべきかを意識するということがこの本を読む意義であると思う。
分量も多く、哲学の基礎知識がないと読み難しい面はあるが、大学の講義を元に平易な文章で書かれており、「一般人が陥る剥奪説による死への恐怖」などのエッセンスはくどいくらい繰り返されているので、エッセンスを早めに掴めればそこまで時間をかけずに読めると思う。
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