どうすれば人は幸せに生きることができるか。
この哲学的な問いに対して本書は、哲人と青年の対話というギリシア哲学の古典的なスタイルを通じて、アドラー哲学に基づくシンプルで具体的な“答え”を共感とともに示してくれる。
アルフレッド・アドラーは、フロイト、ユングと並んで心理学の3大巨頭の一人と称される。
アドラーの目的論は、我々が陥りがちな「人生の嘘」を否定する。過去が今の私を規定するのではなく、今の目的が我々の行動を規定するのである。
我たちは対人関係や周囲との比較による劣等感によって日々苦しめられる。
そして、多くの心理学はその悩みの背景を原因論に求めていく。
しかし、実際にはそれらの悩みから解放されるには、原因論を否定しなければならないのである。
「変えられるもの」と「変えられないもの」を判断し、変えられるものだけ変えれば良いと本書は説く。他者は変えられないけど、自分自身は変えることができる。
目的を見据えて、自分自身や課題を他のものから切り離すことで、私たちは劣等感や承認欲求などの負の感情から解放されていく。
日本人はルース・ベネディクトが「恥の文化」と評され、他人の目を意識して生きる傾向にある。
インターネットやSNSなどの登場により個人がより人とつながることを求められる現代にてアドラー心理学の価値が見直されているのは当然のように思われる。
目次
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか
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