著者によると、人間の才能は「創造性」「再現性」「共感性」に分かれ、それぞれの才能をもつ「天才」「秀才」「凡人」の3種類の人間がいる。
凡人の主人公が、なぞの犬を通じて、タイトルの通り「凡人が天才を殺すプロセス」を理解していくというストーリー。
ここで注意しなければならないのは、3つの人間の間に優劣があるということではない。
それぞれの人間によって、得意とする領域や関心事項が異なるのである。
そして、すべての人間はどれか1つの才能のみを持つだけではなく、複数の才能が共存しているのである。
そして、「天才」「秀才」「凡人」それぞれの間にはコミュニケーションの断絶が存在する。
天才は凡人に理解されたいと感じているのに、凡人は天才の独創性を理解することはできない。
天才は秀才に対して関心を示さないが、秀才は天才に対する妬みと憧れを持っている。
秀才は凡人を見下し、凡人は秀才を天才と勘違いする。
多くの組織や社会は、天才の才能を活用したいと思っている。
しかし、「多数決」という一見すると正しく見えるロジックを用いて、天才を殺してしまうのである。
多数派である凡人は天才を理解することができない。そして天才を殺したあとで、理解できる秀才を天才と勘違いして秀才の意見を採用するいう悲劇が待っている。
組織や社会としては、それぞれの人間のコミュニケーションの橋渡しできる「アンバサダー」を用意して、コミュニケーションの断絶を潤滑にしていければ悲劇は回避することができる。
この本を読むことで、自分が「天才」「秀才」「凡人」のどれに当てはまるのか思い当たることがあると思う。(ある場面では「天才」である人が、他の場面では「凡人」ということも往々してある)
自分がどの種類に分類にされるかを理解して、その才能の活かし方を活かすことが重要となる。
目次
1. 才能ってなんだろう
2. 相反する才能
3. 武器を選び、戦え
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