小説としても面白く、高校野球という青春ドラマを通じて『ドラッカー』の主張の基本的なところを身に着けることのできる一石二鳥の本。
大学生くらいの若者に、おススメの本を聞かれたら「もしドラ」と答えるようにしている。反応としては失笑を買うか、最近の若者は「もしドラ」をそもそも知らないことも多いですが(笑)
ドラッガーの説く「マネジメント」とは、組織として「人の強みを活かす」ということである。
マネージャーというポジションにあるなしに関わらず、組織の他のメンバーの強みや弱みと自身の強み弱みを組み合わせることで、組織として最大の成果を上げることが「マネジメント」の目的である。
そしてそのための具体的なステップが、顧客の求める本質的価値と自分達の提供する価値を言語化するということである。
この本を読むことで、顧客の発見と創造に必要なマーケティングの考え方、イノベーション実現のプロセス、人事の諸問題、マネージャーによるフィードバックの重要性など、本質的なマネジメントの役割を理解することができる。
主人公がマネージャーの仕事のためにドラッカーの『マネジメント』を購入してしまうように、「マネジメント」や「マネージャー」という言葉を聞いたことはあるが、その意味を自分の言葉で説明できない方でも読み進めることができるような工夫がされている。
「マネジメント」の内容をある程度知っている人にとっても、その内容をどのようににして高校野球部のマネージャーとしての役割で活かしていくのか十分頭の体操になり、是非おススメしたい一冊である。
あらすじ(Amazonより)
敏腕マネージャーと野球部の仲間が甲子園を目指して奮闘する青春小説。高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のためにドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまいます。はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。これまでのドラッカー読者だけでなく、学生から若手ビジネスパーソンなど多くの人に読んでほしい一冊。
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