MBA留学中に、「People Analytics」の授業での教科書に指定されていた本(実際に読んだのは英語版)。
著者のラズロ・ボック氏はマッキンゼー・GEというキャリアを経てグーグルへ入社。
従業員が6,000人から10倍の6万人へと組織が巨大化していく過程で、グーグルの人事システムを設計し、「最高の職場」へと進化させてきた人事部門の責任者(人事担当上級副社長)である。
変化の激しい現代において、優秀な人材を継続的に確保し、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるような環境・制度を整えることは経営者には求められる。
そうした経営上の課題に対して、グーグルが「より良い人事制度」を作り上げるために、グーグルが採用した科学的アプローチの手法である。
著者らはデータに基づいたファクトベースでの客観的な調査と、泥臭くかつ地道な人事制度のブラッシュアップを通じて、「より良い人事制度」を探求していく。
そして、本書にはグーグルの調査(Project Oxygen)を通じて導かれた人事制度の結論についても詳細に描かれている。
【本書のエッセンス】
・仕事に意味を持たせる
・自分よりも優秀な人材のみを採用する
・直感を信じない
・カネは必要な時は惜しみなく使う
・2つのテール(優秀なプレイヤー、業績の低いプレイヤー)を分析する
・報酬は不公平に設定する
・ナッジによる動機付け
・高まる期待をマネジメントする
・楽しむ!!!
グーグルが最強の最高の人材を抱えて、彼らの能力を最大限発揮してもらう為にどのような努力を行っているのかを知ることで、読者は自社の人事制度をどのように変えるべきか、人事制度を変えるためにどような努力を行うべきかを学ぶことができる。
この本から学んだことは、「人事はアートではなく、科学である」という一貫したメッセージである。
Googleという高収益企業だからこと実現できている施策もかなりあると感じたが、模倣できる施策、模倣しなければならない施策も書かれていると感じた。
地道にデータを収集して分析することで、その企業にとって「最適な人事制度は何か」を追求していくことの重要性をこの本は教えてくれる。
経営者や人事担当者だけではなく、組織のマネジメントと「最高の職場」つくりに興味のある方におススメしたい一冊である。
目次
はしがき 悪夢のようなキャリア
なぜグーグルのルールはあなたの役に立つのか
01章 創業者になろう
02章 「文化が戦略を食う」
03章 レイク・ウォビゴンの幻想
04章 最高の人材を探す方法
05章 直感を信じてはいけない
06章 避難所(アサイラム)の運営は避難所に任せる
07章 誰もが嫌う業績評価と、グーグルがやろうと決めたこと
08章 2本のテールーートップテールとボトムテール
09章 学習する組織を築こう
10章 報酬は不公平でいい
11章 タダ(ほぼタダ)ほどステキなものはない
12章 ナッジ/選択の背中を押す
13章 人生は最高のときばかりじゃない
14章 あなたにも明日からできること
人事オタクのためのあとがき
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