インフレとバブルには、「モノの価格が上昇する」という共通点があります。
しかし、バブルとインフレには違いがあります。今回の記事では、混同しやすいバブルとインフレの違いについて説明したいと思います。
バブルは、資金が特定の資産に集中した結果、一部の資産の価格だけが急上昇していく現象です。
ある商品への投資によって誰かが儲けたという話を聞いて、それに追随しようとする別の投資家が追随して投資することによりバブルは起こります。
実際の資産の本源的価値と市場価値の間に大きな乖離が生じるのです。
しかし、その資産価格の上昇はいつまでも続きません。
どこかのタイミングで必ずバブルは弾けて、後から高値で買った投資家が大損するという結末を迎えることになります。
インフレ(インフレーション)は、流通する貨幣の量が増加したことにより、貨幣の価値が下がり、相対的にモノの価格が上昇する現象のことを指します。
需要と供給の関係からすると、多くの人にとって貨幣が容易に入手できる状況になり、モノを売る側としては、それまでと同じ金額で販売することはできないという状況です。
近時の日本ではインフレは稀有な現象であるのでイメージは湧かないかもしれませんが、過去に他国では、月率50%を越える物価の上昇を伴うハイパーインフレーションが起きたことがあります。
例えば第一次世界大戦で敗戦した国々は、賠償金への支払いの為に大量の紙幣を印刷しました。
そして、中央銀行がインフレ率をコントロールすることができずにハイパーインフレーションが発生しました。給料を受け取っても、お金の価値が急速に下がりすぎていて、生活物資を購入するために大量の高額紙幣を店まで運ばなければならないという状況が実際にあったのです。
一方で、市場における貨幣の流通量が減少すれば、貨幣の価値があがり、デフレーション(デフレ)となります。貨幣の価値が相対的に上昇することにより、モノの価格が下がるのです。
物価の下落が始まると、さらなる物価の下落への期待が生まれ、モノに対する買い控えが起こります。そのような状況では、モノを製造してもなかなか売れなくなり、ついには「景気後退」という状況に陥ります。
企業は商品を売るために、さらに価格を下げるようになります。企業の売上・利益は少なくなり、従業員のリストラや給与を削減した結果、人々がさらに買い控えるという負の連鎖が進むのです。
日本は1991年以降、長期にわたるデフレに苦しんでいます。海外(先進国)での生活を経験すると日本の物価が非常に安いということが身に染みて分かります。
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