COVID-19による将来への不安や、Fintechによる投資へのハードルの低下(株式売買アプリ、手数料低下)によって、若者による金融商品への投資の関心が高まっています。
また、ここ数年は各国の中央銀行による量的・質的緩和政策もあり、株価はかなりの高値水準で推移しています。
巷には金融商品投資で利益を上げた方のニュースや記事が溢れており、自分も同じように儲けたい欲望に駆られての投資が増えているように思われます。
しかし、投資はリスクを伴うものであり、その金融商品の本質が何かを理解した上で意思決定することが重要となります。
今回の記事では金融商品のうち、「株式」について説明ていきます。
株式とはシンプルに定義すると株式会社の所有権を取引がしやすいように細分化したものです。
株式を持つ個人・法人は「株主」と呼ばれ、経営に関する意思決定に参加できる権利や、「配当」と呼ばれる分配金を取得する権利を有することになります。
一方で、株主はそれらの権利を得るために一定の限度の範囲内で責任を負います。
例えば、会社が倒産した場合に、株主は株式を取得するために支出した「出資金」を失うことになります。(この株主が負うべき一定の限度の範囲内での責任を「有限責任」と呼びます金銭教育:金融商品としての「株式」とは何か。)
株式会社を設立するには資本金が必要となり、その資本金は株式によって調達されます。
創業間もない時期であれば、創業者本人やその家族や友人、ベンチャー企業への投資を行うエンジェル投資家が株式を引き受けることになります。
企業が成長して株式市場に上場する際には、新たな投資家もその株式を購入することができるようになり、上場した企業は株式を新規で発行することにより調達した金額を更なる投資へ利用することができます。
上場することによって株式にはどのような影響があるのでしょうか?
上場することの最大のメリットは、「市場での株式の取引が自由に行われることで、流動性が増す」ということです。
上場されていない非上場株式であっても売買することは可能ですが、取引相手を見つけてこなければなりません。
しかし、株式市場に上場していれば、その企業が上場廃止にならない限り、株式死市場で自由に取引する機会が保証されるのです。
株式が株式会社の所有権であることは細分化されることは前述した通りです。
しかし、所有権としての金銭的価値があったとしても、売却して換金する機会が確保されなければ価値は確保されることにはなりません。
株式により法的に保証される権利は同じであっても、「容易に売却できる」というメリットが追加されることで、株式の保有している潜在的価値を実現することができるのです。
上場後はその株式は株式市場にて取引され、その価格は市場メカニズムとして需要と供給の関係によって決定されます。
その企業に対する期待の高さによって、「売りたいというニーズ」(供給)よりも「買いたいというニーズ」(需要)が多ければ、その価格は上昇することになります。
反対に、「買いたいというニーズ」(需要)よりも「売りたいというニーズ」(供給)が多ければ、株価は下がるということになるのです。
将来の株価を予測するには、将来の株式の需要と供給を予測することが必要であり、それは決して容易ではないということに留意が必要です。
金銭教育:目次
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