企業のリーダーが企業の分析をする際に必要な視点が、「コアコンピタンスは何か?」という視点です。
コアコンピタンスとはビジネスにおける「コア」、すなわち中核となる強みのことを言います。
言い換えると、「競合他社より優れた強み」「競合他社が模倣することのできない強み」といえます。また、コアコンピタンスには以下の3つの条件があります。
顧客に対してメリットをもたらす(もしくは困りごとを解決する)。
競合他社が模倣したくてもできない。
複数のマーケットや顧客に対して転用することができる。
競合他社がまねをすることができないコアコンピタンスを明確にし、そのコアコンピタンスを他のビジネスでも活かすことで、そのビジネスの成功確率を高めることができます。
コアコンピタンスを正しく認識して、社内の他のビジネスとの「シナジー」を実現することが企業の長期的な成長を実現する上での鍵となるのです。
コアコンピタンスの把握が重要であるということは前述の通りです。
しかし、「コアコンピタンスの正確な把握は非常に難しい」ということに留意が必要です。
特に、ビジネスが好調な時ほど、気のゆるみによって解釈にバイアスがかかってしまうことがあります。
例えば、「わが社のコアコンピタンスは”ヒト”である」ということを企業のリーダーが述べることがあります。もちろん、その企業が既存ビジネスで成功を収めているのであれば、その会社の人材が優秀な可能性は高いです。
しかし、コアコンピタンスを「ヒト」であると曖昧に定義してしまうと、その優秀な「ヒト」を活用して他事業にも展開すれば成功するという間違った意思決定が導かれてしまいます。
商品を売るスタッフの営業力が優れているのか、顧客のニーズを把握する力なのか、斬新な商品を開発するスタッフなのか、もう一段階も二段階も細かなレベルでの「真のコアコンピタンス」を把握するというプロセスが必要になります。
視点を変えることで、コアコンピタンスは複数の解釈が可能であり、外部環境も踏まえてコアコンピタスの把握を行っていくことがビジネスの中長期的な成功確率を高めるということに繋がるのです。
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