企業は全社、ビジネス・部門、部署(機能)という複数の階層によって成りたっています。
組織のなかで求められる役割や機能が異なるように、それぞれのレベルによって経営戦略立案の際に検討すべき事項というのも異なってきます。
全社レベル(全社戦略)
・どのビジネスに進出すべきか、撤退すべきか
・産業のなかでどこまで垂直統合を行うべきか
・どこまで事業範囲を多様化するべきか
部門レベル(事業戦略)
・どのような競争力の優位性を築くべきか
・どのように競争力の優位性を築くべきか
「低価格」か「差別化」か
部署レベル(組織戦略)
・どのように必要な機能を構築するか
・どのように組織の機能を変化させるべきか
日本では「経営戦略」という言葉が、様々な階層の戦略を意味してしまっているため、その言葉を使う側がどの階層での議論をしているのかを明確にしないまま議論が進んでいるケースが見受けられます。
今、自分がどの階層について検討しているかを意識し、その階層に応じて適切な議論を行うことが必要になります。
次に、経営戦略管理をどのようにして行うかについて説明していきます。
プロセスは以下の4つのフェーズから構成されます。
① 企業を巡る外部環境、企業の有するリソースの分析
② 経営戦略の立案: 企業のミッションは何か?顧客は誰で、どのように顧客に対して価値提供を行うか?それぞれの部署や部門がどんな目標を達成すれば、企業としてのミッションを達成することができるのか?
③ 経営戦略の実行: 経営戦略を実際に実行する。その際に、社内の組織、システム、人事制度をどのように設定すれば、効率的かつ確実に経営戦略の実行につながるのかを検討する。
④ 評価/調整: 目標通りに経営戦略が立案できているか?できていない場合には、何を変化させるべきか? 外部環境の変化に応じて、戦略や戦術をどう変更すべきか?
経営者には①~④のプロセスを回していく不断の努力が求められます。
特に、外部環境の変化のスピードがあがっている現代においては、競争力の源泉が損なわれることのないよう(もしくは、他の競争力の源泉を見つけられるよう)に①~④のプロセスをスピーディに回していくことの重要性が高まっています。
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