株式に投資する際、投資家は2種類のリスクに考慮に配慮しなければなりません。
1つ目は、経済動向のようにマーケット全体に影響を与えるマーケットリスクです。このリスクは、全ての金融商品に影響を与えます。
例えば、もしある国の経済が不況になれば、その国の大半の企業の業績は悪化するでしょう。同様に、好況になれば、大半の企業は良い業績を記録するでしょう。
これらのリスクは、ポートフォリオの構成を分散させたとしても、完全に取り除くことはできません。
マーケットリスクにも様々な別名があり、分散不能リスク、システマティックリスクなどとも呼ばれます。
2つ目のリスクは、特定の産業や特定の企業に影響を与えるリスクです。
例えば、とある油田で将来新たに石油の埋蔵量がどれほど発見されるかは、その油田の権利を有する石油会社の業績に影響を与えます。これを、企業特有のリスクといいます。
また、新たな技術によるイノベーションは、ハイテク産業の業績に大きな影響を与えます。このように特定の業界に属する全ての企業に影響を与えるリスクを、産業固有のリスクと呼びます。
これらのリスクの大半は、分散投資によって取り除くことができます。
この個別銘柄のリスクは様々な呼ばれ方をします。分散可能リスク、アンシステマティックリスク、ユニークリスクなどと呼ばれます。
いくつかの産業は、その国全体の不況によって他の産業よりも影響を受けます。
例えば、不況になると自動車や耐久消費財のメーカーの売上は顕著に影響を受けます。
一方で、人々の日々の生活にかかわる産業、例えば主食に関するビジネスはそこまで大きな影響は受けません。不況の時、耐久消費財の買い替えを先延ばしにすることはできても、食事をしないというわけにはいかないからです。
経済全体とより密接に結びつく産業ほど、景気の動向に左右されることになります。
このように、景気の動向で特定の産業の企業の業績が同じ方向に動く場合のように、分散投資によって取り除くことができないリスクが、マーケットリスクです。
特定の金融商品のリスクは上記のリスクのから下記の通り表すことができます。
ここでのマーケットリスクや個別銘柄のリスクは、その銘柄が属する産業や、その企業固有の事情によって異なります。
また、十分に分散されたポートフォリオを構築することで、分散可能リスクは取り除くことができます。
分散されたポートフォリオを保有していれば、投資家は分散可能リスクについて心配する必要がありません。その投資家は、マーケットリスクにのみ気を配ればいいのです。
分散の効いたポートフォリオを保有している場合、そのポートフォリオを構成する金融商品のリスクがその金融商品の価格に影響を与えることになります。
次回以降の記事では、金融商品のプライシングにおいて重要なCAPM(資本資産評価モデル)について説明します。
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