なぜビジネスパーソンにファイナンスが必要となるのでしょうか。
この質問に対して答えるために、まずは多くのビジネスパーソンが所属している会社を巡る「お金の流れ」について見てみたいと思います。
上記の図を見ればわかるように、
① 企業は資本市場から資金を調達、
② 調達した資金を投資して得た商品やサービスを提供、
③ 商品やサービスの対価として利益を獲得、
④ 獲得した利益を投資家に対して還元(もしくは自社内で再投資)する
というのが、企業を巡る「お金の流れ」となります。
このお金の流れを安定的かつ永続的なものにするために、企業は①と④のバランス、②と③のバランスに配慮する必要があります。
どれか一つのでもバランスが崩れると、その企業を巡る「お金の流れ」が目詰まりを起こして、その会社を巡るステークホルダー(利害関係者)に対して迷惑をかける結果になってしまいます。
資本主義におけるビジネスパーソンには、日々の業務において上記の「お金の流れ」に配慮した意思決定が求められるということになります。
なお、上記の図のうち①と④のバランスを保つための意思決定を「投資にかかる意思決定」といい、②と③のバランスを保つための意思決定を「財務にかかる意思決定」といいます。
次にそれらの意思決定についてみてきたいと思います。
「投資にかかる意思決定」は主に下記のようなものになります。
・商品やサービスの提供のために、どの程度の設備投資、人材への設備投資を行うか?
・商品やサービスを顧客に提供するために、どのような戦術・戦略を採用するか?
・開発・製造・マーケティング・販売・間接部門といった社内の人材リソースをどのように活用するか?
「投資にかかる意思決定」は企業の価値創造の一丁目一番地といえるものです。
上記の「投資にかかる意思決定」を行うために、ビジネスパーソンには全てのステークホルダーにとっての価値を最大化し、その価値をバランスよく分配するという視点が必要になります。
財務にかかる意思決定は主に下記のようなものになります。
・どのように投資家から資金を調達するか?
・資金の提供者である投資家に対して、どの程度のリターンを提供するべきか?
・「投資にかかる意思決定」と「財務にかかる意思決定」のバランスどのように保つか?
良い商品を提供するには投資が必要であり、その元手となる資金が必要となります。
起業の財務担当者には、資金の提供者である投資家との良好な関係を構築するための日々の意思決定が求められるのです。
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