前の記事では、企業の戦略は「コストリーダシップ戦略」と「差別化戦略」に大別されると説明しました。
では、企業はどのようにコストを減らし、差別化するのでしょうか?
ポーターが、企業の生み出す価値がどのアクテビティによってもたらせるかを分析するために提唱したフレームワークが「価値連鎖」です。
「価値連鎖」を活用することにより、企業活動の一連の流れを、それぞれ価値創造の切り口から分解し、それぞれのアクテビティの特徴を分析することができます。
企業活動は下記のように、主活動と支援活動へと分解され、主活動と支援活動はそれぞれ下記の通り分解されます。
主活動:購買物流、製造(オペレーション)、販売物流、マーケティング・販売、サービス
支援活動:全般管理(インフラストラクチャー)、人事管理、技術開発、調達
上記を図示したものが下記の図になります。
「価値連鎖」のフレームワークを活用する流れは下記の通りとなります。
① それぞれのアクテビティに対し、付随する費用・収益・資産を割り当てます。
② それぞれのアクテビティの中で特に下記のアクテビティに注目します。
・多くのコストを必要とするアクテビティ
・競合他社とは異なる手法を採用しているアクテビティ
・競合他社とは異なるコスト構造のアクテビティ
・差別化の要因に繋がっているアクテビティ
「価値連鎖」によってアクテビティを分解することにより、どのアクテビティが価値(顧客が会社の提供する製品・サービスにとって支払う金額 )をもたらすことに貢献しているか、すなわち企業の強みであるかを把握することができるのです。
それぞれのアクテビティが企業にとって強みでかどうか、顧客への提供価値が大きいか否かを分類したものが下記の表になります。
顧客への提供価値という視点で、影響が大きい領域を特定し、その領域における投資を継続、改善が必要な領域は追加投資を行うということが基本戦略となります。
出典:「競争優位の戦略」M.E.ポーター著 ダイヤモンド社(1985)より編集
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