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MBAファイナンス⑯:機会費用と埋没費用

更新日:2021年4月9日


次に、投資の意思決定をする際の重要な2つの概念について説明したいと思います。

それは「機会費用」と「埋没費用」です。




複数のプロジェクトの選択肢がある中で、同一期間中に最大の利益を生むプロジェクトとそれ以外のプロジェクトとの利益の差のことです。

最大の利益を生むプロジェクト以外を選択する場合、最大の利益を生むプロジェクトで本来得ることができたはずの利益との差の分を得ることができないということになります。その潜在的な損失分を他の選択肢を選ぶ上での費用と表現しているのです。


例えば、あなたの会社が既に保有している土地(更地)を利用して工場を建設するというケースを想像してみてください。

その土地の市場価格は100百万円だとします。

その土地は元から保有していたものですので追加のコストは発生しません。しかし、工場を建設することによって、あなたの会社は100百万円で市場に売却するという「機会」を逃してしまうことになるのです。

この場合、プロジェクトのキャッシュフローを計算する場合は、売ることで得ることができたはずの100百万円もコストとして反映することが必要になるわけです。



既にプロジェクトに投下したコストのうち、プロジェクトの撤退をしても戻って来ないコストのことです。

例えば、研究開発や市場調査、フィージビリティスタディはプロジェクトを開始する前に払われる費用については、プロジェクトを実行しないという決定をしても取り返すことはできません。

このコストは時折、意志決定の際にマネージャーの目を曇らせることがあります

既に「~百万円投資してしまっているから勿体ない」という発想で、意志決定の際にこの埋没費用を考慮してしまうのです。

しかし、それは間違いです。これらのコストを支払ったという事実は、将来のキャッシュフローに対しては影響を及ぼすものではないため、投資の意思決定に際しては考慮する必要がないのです。

研究開発や調査のアウトプット自身はプロジェクトの成功確率を高めるという意味では影響します。


ビジネスパーソンには、過去の埋没費用に対する「もったいない意識」を切り捨てて、冷静に判断できる判断力が必要になるのです。




もう一点、プロジェクトへの投資の意思決定をする際に含めてはいけない費用があります。それは、株主や負債債権者への金融費用のコストです。

実際のビジネスでは、負債に対しては利息の支払いや債務の弁済や、株主に対しては配当の支払いや自社株買いなどの株主還元が必要となります。

しかし、金融費用をプロジェクトによって発生する負のキャッシュフローとして含めるのは間違いです。


それはなぜでしょうか?


金融費用については、割引率(資本の機会費用)の中で考慮されており、NPVの計算においては割り引く際に反映されているのです。

つまり、金融費用をプロジェクトのキャッシュフローに含めてしまうと、プロジェクトのキャッシュフローと割引率で2度コストとしてカウントしてしまうことになるのです。


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ブログ管理人:田中ゲイリー

東京都出身。東京大学卒業後、都内金融機関にて投資銀行業務に従事。その後、米国へ留学しMBA(経営学修士)を取得。現在は、上場企業にて経営企画業務に従事する傍ら、副業としてITスタートアップにてCFOとして関与。
Blog Author: Gary Tanaka

CFO of the IT venture company (Data Analytics)

Finance / Corporate Planning / Ex. Investment Banker

University of Tokyo (LL.B) |

University of Michigan, Ross School of Business(MBA)

Tokyo, Japan

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