プロジェクトから発生する事業のキャッシュフローの計算は以下の計算式によって計算することになります。
今回の記事では、特に注意すべきポイントである減価償却費、販売費及び一般管理費の取り扱いについて解説します。
一般的に、企業の損益計算書では営業利益は
売上高 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費 = 営業利益という流れで計算され、③の減価償却費は販売費および一般管理費に含まれています。
しかし、キャッシュフローの計算の際は、販売費及び一般管理費のなかで減価償却費は個別の項目として計算する必要があるということです。
なお、上記の④販売費及び一般管理費には減価償却費は含まれていません。
なぜ、減価償却費に関して特別な扱いが必要になるかという、減価償却費は会計上・税務上は費用として計上されるものの、それ自体はキャッシュの減少を伴わないからです。
例えば、ITシステムへ投資100百万円投資した時、システムベンダーへの支払いはシステムを導入した時に発生しています。
しかし、会計上・税務上はその償却時間に応じて費用として配分されます。
例えば、償却期間が5年の場合、100÷5=20百万円ずつが費用として5年間にわたって費用として計上されることになります。
しかし、それぞれの期においては、キャッシュの減少生じませんが、税務上は費用として認識されることになります。
減価償却費分の利益が減少するため、その分の税金の支払いを防ぐという効果(節税効果)があるのです。
従って、キャッシュフローを計算する場合は、⑥で営業利益にかかる税金を計算する時点では減価償却費を費用として考慮して計算しますが、後から⑧でキャッシュの支払いが発生しない項目として減価償却費を足し戻す必要が生じるのです。
上の例でのITシステムへの投資額100百万円については、⑨の資本支出(設備投資)の項目でキャッシュの支払いとして支払い時点で考慮されることになります。
減価償却費以外の④販売費及び一般管理費についても留意が必要です。
この費用については、プロジェクトを採用したことにより純粋に増加する部分のみを考慮する必要があります。
すでに他のビジネスやプロジェクトで発生している間接費は埋没費用であり、投資の意思決定の際にプロジェクトのキャッシュフローを計算する場合は含めるべきではないということになります。
(管理会計上、間接部門のコストを新しいプロジェクトにも配賦するということはありますが、それはプロジェクトを採用するという意思決定をした後の話です。)
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