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執筆者の写真Gary Tanaka

MBAファイナンス㊸:投資の分散効果

更新日:2021年4月9日


投資の分散効果具体例で考えてみましょう。



銀行、証券会社、サービサー(債権回収会社)のそれぞれのリターンが、好況・普通・不況の場合下記の通りであったとします。また、それぞれの経済状態の発生する確率は等しく1/3ずつであると仮定します。


銀行、証券会社は好況であるほどリターンが高くなることは理解いただけると思います。一方で、サービサーは社会全体の企業の破綻や延滞が増えてビジネスチャンスが増えるということになります


ここで、2つのポートフォリオについて考えてみましょう。

ポートフォリオA:資金の50%を銀行に、50%を証券会社に投資する。

ポートフォリオB:資金の50%を銀行に、50%をサービサーに投資する。


この場合、それぞれのポートフォリオのリターンは銀行・証券会社の平均、銀行・サービサーの平均ですので下記の通りとなります。


ポートフォリオAの場合、銀行のビジネスが好調である時、証券会社も好調であり、不況の場合はどちらもリターンがマイナスということになります。


このような場合、銀行と証券会社の関係は「正の相関」と表現されます。完全に正の相関となっている株式同士のポートフォリオではリスクを減らすことはできません

一方で、ポートフォリオBの場合、銀行が好調であってもサービサーのリターンはマイナスとなります。この場合の銀行とサービサーの関係は「負の相関」と呼ばれ、全てのリスクが消滅します。上の図の通り、好況の場合も不況の場合もリターンは一定となります。


2つの異なる金融商品の価格が同じような値動きをする場合、それらの金融商品でポートフォリオを構成しても減少できるリスクは多くはありません

一方で、2つの異なる金融商品の価格が逆方向に動くような場合、それらの金融商品でポートフォリオを組むことで減少できるリスクの量は大きくなります


金融商品aにWa(%)を、金融商品bにWb(%)を投資した場合の分散は下記の通り表現できます。

非常にシンプルな事例を考えてみましょう

2つの金融商品の分散が等しく、50%ずつを金融商品aと金融商品bに投資した場合、そのポートフォリオの分散は下記の通りとなります。


相関係数は1.0から-1.0の間の値を取り、相関係数が1.0の場合2つの金融商品リターンは全く同じ方向に動き、相関係数が0の場合は2つの金融商品のリターンの動く方向は独立しており、相関係数が-1.0の場合は全く逆方向に動くということになります。


分散=リスクですので、相関係数が1.0の場合はもともとのリスクから全く減少することはなく、-1.0の場合はリスクがゼロになっているということになります。

2つの金融商品の相関係数が小さいほど、ポートフォリオの分散は小さくなり、分散投資によるリスクの減少というメリットをより享受できるということになります。


上記の表からいえることとては、2つの金融商品が完全に相関していない限り(すなわち相関係数が1.0ではない限り)、リスクは減少するということになります。

相関係数が正の場合であっても、一つの金融商品のみに投資する場合よりもリスクを減じることができます


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ブログ管理人:田中ゲイリー

東京都出身。東京大学卒業後、都内金融機関にて投資銀行業務に従事。その後、米国へ留学しMBA(経営学修士)を取得。現在は、上場企業にて経営企画業務に従事する傍ら、副業としてITスタートアップにてCFOとして関与。
Blog Author: Gary Tanaka

CFO of the IT venture company (Data Analytics)

Finance / Corporate Planning / Ex. Investment Banker

University of Tokyo (LL.B) |

University of Michigan, Ross School of Business(MBA)

Tokyo, Japan

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