すべての情報が公開されると速やかに株価に反映されるという市場の効率性を「セミストロングフォームの効率性(Semi-strong form efficiency)」といいます。
このような市場においては、新しく公表された情報を投資に利用しても遅いということになります。
多くのアナリストや投資家は公開情報の分析を競い合うようにおこなっており、新聞やWebから得た情報で他のマーケット参加者を出し抜くことはできないのです。
「セミストロングフォームの効率性」のある市場においては、現在の株価は将来の株価に対する公平な予測を反映していることになります。
株式市場がこの「セミストロングフォームの効率性」を有しているであろうということを多くの研究結果が示しています。
先行研究では、企業が株式の分割、配当の変更、決算見込の変更、自己株式取得やM&Aなどの企業にとって重要なイベントが発生する際に、「異常リターン(Cumulative Abnormal Return)」が発生するかを分析しています。
もし、株式市場が「セミストロングフォームの効率性」を有しているとすれば、イベントが公表される当日に株価は上昇し、そうしたニュースがなければ株価の大きな変動は生じないということになります。
多くの研究によると、イベントが公表されると速やかにマーケットが反応して株価に織り込まれ「異常リターン」が発生するということを示しています。
現在の株式価格は内部情報を含めたすべての情報を反映しているという考えを「ストロングフォームの効率性(Strong form efficiency)」といいます。
この、「ストロングフォームの効率性」を株式市場が有しているとすると、内情に明るい人間がインサイダー情報をもとに売買をしても、市場を上回るリターンを獲得することができないとされています。
ウィークフォームやセミストロングフォームの効率性とは異なり、このストロングフォームの効率性を証明する研究というものは存在しません。
実際の株式市場では、インサイダー情報を利用して売買を行うと利益を得ることができてしまいます。
しかし、ほとんどの国の株式市場においてインサイダー情報を利用した取引は違法とされています。
日本でも、先日とある小売り量販店の代表が知人にインサイダー情報を知りながら株の購入を薦めて逮捕されるというニュースがなされました。
アメリカでも、2001年に破綻したエンロンにおいて、CEO、CFOなどの経営陣が破綻前に売り抜けていたという事例がありました。彼らは、一方では従業員には自社株式を購入うすように薦めており、実際に多くの従業員が購入していたにも関わらずです。
もちろん、CEOやCFOはのちに証券取引委員会の調査と訴追を受けることになりました。
インサイダー取引に関する規制や罰則は国や市場によっても濃淡が異なり、ある国では規制されている取引が、他の国では許容されるということもあります。
しかし、そうした取引は市場の公平性や透明性を歪めていき、その国の健全なマーケットを阻害することで間接的により多くの参加者に対してダメージを与えることとなります。
インサイダー取引のような不正な取引に関する規制は各国で厳格化される方向へ進むものと考えられます。
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