投資の意思決定をする際に有用な他の指標を2つほど説明したいと思います。
一つ目は収益性指標(PI)です。PI は将来キャッシュフローの現在価値(PV)を初期投資額で割ることで求められます。
PI が1より大きい場合は、NPVが正という関係が成り立ちます。
従って、PI が1を上回るプロジェクトについては採用すべきということになります。
残念ながら、PI はIRRと同様の問題を抱えています。
それは、複数のプロジェクトを同時並行で検討しなければいけないときです。
PI 同士で比較すると間違った結論を導いてします恐れがあります。
例えば、プロジェクトAの将来キャッシュフローのPVが150で初期投資が100の時PI は1.5で、プロジェクトBの将来キャッシュフローのPVが50で初期投資が25の時PIは2.0となります。
PI 同士を比較するとプロジェクトBを採用するということになりますが、NPVの比較ではプロジェクトAはNPV50に対してプロジェクトBのNPVは25となります。
もし、どちらか一方のプロジェクトしか採用できない場合は、株主価値の増大を考慮して検討しなければならないのです。
投資の魅力度を測る指標として回収期間があります。
回収期間とはその名の通り、初期投資額の回収にどれだけの期間を要するかというものです。
具体例を見てみましょう。
年度 0 1 2 3 4
キャッシュフロー -4,000 1,500 2,000 1,500 1,000
このプロジェクトは1年目までに1,500、2年目までに1,500+2,000=3,500を回収できますが。残り500が未回収です。3年目の途中に回収が完了することになります。
回収期間=2 + 500/1500 = 2年4か月
この回収期間を、企業の設定している回収期間の目標と比較することで投資の意思決定をすることになります。
例えば、企業内のルールで、「投資は3年以内に回収する」となっているのであれば、上記のプロジェクトは採用すべきということになり、「投資は2年以内に回収する」と定められているのであればこのプロジェクトは採用すべきではないということになります。
また、この回収期間という指標については次の問題があります。
① 時間的価値が考慮されていない
② 回収完了後に発生するキャッシュフローが考慮されていないあ
回収期間は金融電卓やエクセルなしに計算できるという点では簡易的な手法として便利ですが、実際の意思決定をする際はNPVやIRRを基準に評価すべきということになります。
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