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執筆者の写真Gary Tanaka

MBA ファイナンス㉗:負債による資金調達

更新日:2021年4月9日




次に負債による資金調達について説明します。

負債による調達として一番イメージがつくのが「銀行」からの借入であると思います。

負債による調達は、その返済期間に応じて、短期・中期・長期と区分されます。短期が1年以内、中期が1~5年、長期が5年超というイメージです。

この返済期間は、借り手の信用力や返済能力、資金使途によって異なります。例えば、住宅ローンは20~30年の長期で組むことが一般的かと思います。これは、調達した資金で購入する住宅は借り手が数十年住むものであり、その住宅から便益を享受する期間と返済期間を一致させているからです。(実際には、住宅に住める期間の方が、住宅ローンの返済期間の方が長いですが。)

なお、会計上の「短期」「長期」は1年以内かどうかでの区分となりますので、ご注意ください。




銀行からの借入は、契約上の貸主はもちろん銀行ですが、最終的な資金の出し手は銀行ではありません。銀行や「預金」という形で、預金者から集めたお金を、企業や個人に対して貸し付けているのです。

このように、貸し手と資金の出し手が異なる形態の金融を「間接金融」と言います。企業がお金を借りる際の契約相手は銀行ですが、その先には預金を預けた預金者がいます。この場合、企業は金融機関を経由する形で資金の出し手から間接的に資金の提供を受けているのです。


一方で、資金の出し手から直接資金を調達する場合を「直接金融」と言います。直接金融の具体例としては、社債とコマーシャルペーパーがあります。

社債は企業が発行するものに対して社債権者が直接資金を貸し付けます。社債には様々な種類があり、返済時期、返済回数、通貨、返済の優先順位など様々な制度設計が可能です。株主間の平等を原則とする株式に比べると自由度は高く、トヨタやソフトバンクなど一部の大企業は投資家のニーズを見極めながら効果的に発行しています。

コマーシャルペーパーは、企業が短期で資金調達するために割り引く無担保の約束手形のことを指します。社債は原則的に長期であり、コマーシャルペーパーは短期という風に覚えてください。


間接金融の場合は融資の専門家である金融機関がリスクを見極め、リスクに応じた利息や返済スケジュールを設定します。一方で、直接金融の場合は個人を含めた投資家が、社債やコマーシャルペーパーを発行した企業に直接資金を提供する、投資家自身がリスクを負う事になります。このため、社債やコマーシャルペーパーを発行する企業には相応の信用力が求められます


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ブログ管理人:田中ゲイリー

東京都出身。東京大学卒業後、都内金融機関にて投資銀行業務に従事。その後、米国へ留学しMBA(経営学修士)を取得。現在は、上場企業にて経営企画業務に従事する傍ら、副業としてITスタートアップにてCFOとして関与。
Blog Author: Gary Tanaka

CFO of the IT venture company (Data Analytics)

Finance / Corporate Planning / Ex. Investment Banker

University of Tokyo (LL.B) |

University of Michigan, Ross School of Business(MBA)

Tokyo, Japan

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