前々回の記事で説明した通り、債券を保有することにより実現する利回りは、金利の変動の方向とは逆方向に移動します。(金利があがると、債券価格は下がります。)
このように、債券の購入後に金利の変動によって債券価格が変動するリスクのことを「金利リスク」といいます。
満期までの期間が長期の債券ほど、クーポン(表面利回り)の低い債券ほど、この金利リスクは大きくなることになります。
次に具体的な例で見てみましょう。
表面利回りが4%で満期まで20年の債券を1,000万円購入したとします。
購入から1年後に、金利が5%に増加したとすると、保有期間利回りはどうなるでしょう?
PV = 40/(1.05) + 40/(1.05)^2 + ....... + 40/(1.05)^18 + 40/(1.05)^19 + 1,000/(1.05)^19
= 879.6
と債券価格は1年で大きく減少します。
この場合の保有期間利回りは,
{ 40 + (879.6 - 1000)} / 1000 = -8.04%
前回の記事では、満期まで5年の債券のケースでは、4%から5%まで金利が上昇しても保有期間利回りは0.48%でした。
一方で、金利が4%から3%へ減少した場合を考えてみましょう。
PV = 40/(1.03) + 40/(1.03)^2 + ....... + 40/(1.03)^18 + 40/(1.03)^19 + 1,000/(1.03)^19
= 1142.8
と債券価格は1年で大きく増加します。
この場合の保有期間利回りは,
{ 40 + (1142.8 - 1000)} / 1000 = 18.3%
前回の記事では、満期まで5年の債券のケースでは、4%から3%まで金利が上昇しても保有期間利回りは7.67%でした。
満期までの期間が長い債券ほど、金利の変化によるディスカウントの影響を受けるのです。
また、クーポンの表面利回りの低い債券ほど、金利の変化によって債券価格が変動しやすくなります。
表面利回りが低いということは、債券を保有することによって得られるキャッシュフローの多くを保有期間の終了時点(満期)で受領することになり、金利の変化による影響を受けやすくなるのです。
また、一般的に、金利の低い債券ほど長期の満期が設定されることが多く、そのような債券の場合はより一層金利の影響を受けやすくなります。
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